【2025年最新】保険BPO・生命保険や損害保険業務のアウトソーシング業務範囲・メリットと事例紹介
公開日:2025.08.15

目次
保険BPOサービスとは?
保険BPOとは、保険会社が業務の一部を外部企業に委託するサービスです。現在、DXが不可欠となる中、多くの保険会社でBPOの活用が一般化しています。コンタクトセンター運営や契約事務処理、顧客サポートなどの業務を外部に委託する動きが広がりを見せています。
保険BPOの業務範囲
保険BPOは、単に業務を外部委託するだけではなく、業務そのものの再構築を通じて業務効率の向上を図る手法です。デジタル技術の導入を中心に、生命保険や損害保険の各種業務をフロントからバックオフィスまで広範囲にカバーします。
生命保険のBPO業務について
生命保険のBPO業務は、契約の受付や支払手続きなどの基本的な業務だけではなく、複雑なデータ処理や法規制に対応する高付加価値な業務も包括しています。
生命保険業務は顧客のプライバシー保護や法令遵守が求められるため、通常のBPOとは異なり、慎重な対応が求められます。
生命保険のBPO業務は下記が挙げられます。
| サービス内容 | 詳細 |
| 契約事務 | 契約申込書の受付、審査、データ入力、契約書作成、発送など、契約に関わる一連の業務 |
| 保険金請求事務 | 保険金請求書の受付、審査、支払い処理など、保険金請求に関わる一連の業務 |
| 顧客対応 | 契約内容の変更、解約、保険金に関する問い合わせ対応など、顧客からの問い合わせ対応 |
| データ管理 | 顧客情報、契約情報、保険金支払い履歴などのデータを管理し、正確性を維持する |
| システム運用 | 保険業務システムの運用・保守、データ移行など |
申込書作成やデータクリーニング、請求処理までをカバーし、迅速かつ正確に処理を行います。また、生命保険BPOでは、金融庁のガイドラインに従い、BPO委託が許可されていない業務についても適切に管理されています。
生命保険のBPO業務は、業務の効率化と法規制の遵守を両立させる重要なソリューションといえるでしょう。
損害保険のBPO業務について
損害保険分野におけるBPOは、契約事務から事故受付、保険金支払い事務まで広範な業務を対象にしています。等級訂正や事故初期対応などの専門的な業務において、BPOの導入が進んでいます。
損害保険のBPO業務は下記が挙げられます。
| サービス内容 | 詳細 |
| 契約事務 | 保険契約の申込受付、契約内容の変更、解約手続きなど |
| 事故受付 | 事故発生時の受付、初期対応、現場調査の依頼など |
| 保険金査定 | 保険金支払いの可否判断、支払金額の算定 |
| 保険金支払い事務 | 保険金支払いの手続き、支払いの実行 |
| 顧客対応 | 事故に関する問い合わせ対応、保険金に関する説明、契約内容の説明など |
| データ管理 | 保険契約データ、事故データ、保険金支払い履歴などのデータを管理し、正確性を維持する |
| システム運用 | 保険業務システムの運用、保守、データ移行など |
たとえば、24時間365日対応の事故受付センターを外部に委託することで、事故発生時の迅速な対応が可能になります。顧客満足度の向上とともに、コスト削減や人材確保の課題も解決できるでしょう。また、ペーパーレス化やデジタル化により、保険金支払い事務の効率化も図られています。
複数拠点に分散された業務をBCP対策の一環として活用することも可能です。従来の自然災害だけでなく、近年では地政学的リスクや大規模なサイバー攻撃といった脅威も想定した、よりレジリエント(強靭)なBCPが求められています。国内、ニアショア、オフショアといった拠点を戦略的に分散配置することで、不測の事態が発生した際にも事業を継続できる体制を構築できます。
保険業務アウトソーシングについて
保険契約管理サポートサービス
業務を外部委託することで、コスト削減や業務効率の向上を図るサービスです。保険会社は、契約の更新や保全、支払処理など、さまざまな契約関連業務を日常的に行っています。
保険契約管理サポートサービスを活用することで、保険会社は業務の負担を軽減し、コア業務に集中できる環境を整えられるでしょう。
顧客サポートサービス
顧客対応の窓口をBPOにアウトソースすることで、高品質な顧客対応を維持しつつ、業務コストを削減できます。
顧客サポートサービスでは、コールセンターの運営やチャットサポートの導入など、複数のチャネルを通じた顧客対応が可能です。たとえば、顧客からの保険商品に関する問い合わせや契約内容の確認を迅速に行い、適切なサポートを提供することで、顧客満足度の向上につなげられます。
営業支援サービス
営業支援サービスは、営業活動の効率化を図るための支援機能です。アウトバウンドコールによる新規顧客の獲得支援や、既存顧客へのフォローアップなど、営業活動全般をサポートします。
たとえば、営業職員が対応しづらいエリアに住む顧客へのアプローチを電話やビデオ通話で行い、顧客との信頼関係を築くことが可能です。
マイページ活用支援サービス
保険会社が顧客とのオンライン接点を強化し、顧客の自己解決率を高めるためのサービスです。FAQの構築支援やチャットボットの導入、アクセスログの分析を行い、マイページの利便性を向上させます。

保険BPOサービスのメリット
保険BPOサービスのメリットには下記が挙げられます。
業務効率向上
保険BPOサービスの大きなメリットは、業務効率の向上です。生命保険や損害保険における契約手続きやデータ処理、請求管理などの業務を一括して外部に委託することで、保険会社の業務負担が軽減されます。社員は本来の業務に集中でき、生産性が向上します。
セキュリティ対策の深化とリスクの低減
保険BPOを活用することで、個人情報や機密データの管理を外部の専門機関に一元化でき、情報漏洩のリスクを大幅に減少させられる点は、従来からの大きなメリットです。しかし、近年ではランサムウェアやサプライチェーン攻撃などサイバー攻撃が巧妙化・高度化しており、自社だけで対応し続けることが困難になっているため、より専門的で高度なセキュリティ対策が不可欠です。
業務の迅速化
BPOサービスは業務導入のスピードを加速させます。保険業務に必要なシステムやツールがあらかじめ整備されているため、導入プロセスが短縮され、迅速に業務を開始できるでしょう。結果として、コスト削減や業務の迅速化にもつながります。
加速するAI活用:データ入力の自動化から「生成AI」による業務変革へ
従来の保険BPOでは、AI-OCRなどを活用したデータ入力の自動化が主な役割でした 。しかし2025年現在、その活用は「生成AI」によって新たなステージへと進化しています。
生成AIは、単なる定型業務の自動化に留まりません。例えば、以下のような業務変革をもたらします。
高度な顧客対応の実現
生成AIを搭載したチャットボットやボイスボットは、より自然で人間らしい対話で顧客の疑問に答え、満足度を向上させます 。また、オペレーターの応対をリアルタイムで支援し、回答案を提示することで、サービス品質の均一化と高度化に貢献します。
保険引受・査定業務の高度化
膨大なデータからリスクパターンを学習し、保険金の不正請求検知や、複雑な保険引受・査定業務のシナリオを自動生成します。これにより、担当者はより迅速かつ正確な意思決定が可能になります 。
事務・営業プロセスの革新
契約内容の要約や重要事項説明資料のドラフト作成、さらには顧客データに基づいたパーソナライズされた営業提案スクリプトの生成まで、バックオフィスからフロント業務まで幅広く支援します。
このように、生成AIの活用は単なるコスト削減や効率化を超え、保険業務そのもののあり方を変革する強力な推進力となっています。
保険BPOサービスの選択ポイント
保険BPOサービスを選ぶ際には、外部委託だけではなく、業務プロセス全体の最適化を目指す必要があります。自社の業務を可視化し、課題を整理することから始めるのが効果的です。
効果的な選択のために、下記5つのステップで導入を進めましょう。
- 業務の可視化
- 課題の洗い出し
- 明確なゴール設定
- 改善範囲の特定
- 改善策の実行
また、従来のポイントに加え、2025年現在の環境変化に対応するため、以下の視点も重要になっています。
AIガバナンス体制の確認
AI、特に生成AIの活用が進む中では、その判断プロセスが倫理的で、透明性・公平性・説明責任を担保できているかが極めて重要です。BPOパートナーが、こうした「AIガバナンス」の体制を明確に構築・運用しているかを確認することは、将来的なリスクを回避するために不可欠な選択基準となります。
サステナビリティ(ESG)への貢献
企業の社会的責任が問われる現代において、BPOパートナーがESG(環境、社会、ガバナンス)に配慮した事業運営を行っているかも見過ごせないポイントです。環境負荷の低いデータセンターの利用や、労働者の人権への配慮など、サステナビリティを重視する姿勢は、自社のブランド価値を守り、長期的な成長につながるパートナーシップの基盤となります。

COMITXの保険BPO業務の事例紹介
COMITXでは、AI-OCRと保険業務のBPOを組み合わせ、業務効率化と品質向上を実現しています。
下記では、それぞれ生命保険業務と損害保険業務の事例を紹介します。
生命保険BPO業務の事例紹介
生命保険会社の医療診断書や保険申込書の入力業務において、COMITXが提供するBPOサービスは、効率化とコスト削減を実現しました。

課題
従来の生命保険業務では、繁閑の波が激しく、時期によっては人員不足や過剰人員が発生することが課題でした。新たな人材の頻繁な採用とトレーニングに伴いコストが増加する問題も存在しました。
また、入力から納品のプロセスでは、膨大な書類入力業務に多数の人員が割かれてしまい業務負荷が高いことも挙げられます。
COMITXの解決策
課題に対応するため、COMITXが提供するBPOサービスでは、AIによる業務の自動化とオペレーションの可視化・標準化を導入して課題を解決しました。
COMITXでは、医療診断書や保険申込書の入力業務をAI BPOで対応し、約60名、5~6つの業務、20以上のプロセスに対応できるシステムを導入しました。年間万件以上の処理が可能な体制を構築しています。
書類入力業務にはAI-OCRを導入し、2種類のプロセスを採用することで業務効率化を実現しました。
| 種類 | 概要 | 人数 |
| コスト/効率重視型プロセス | 入力はAIxOCRに任せ、 人によるチェック/修正を
プラス |
1人 |
| 品質重視型プロセス | 入力プロセスにAIOCRを取り入れ高品質とコスト削減を実現 | 3人 |
結果
業務の生産性が大幅に向上し、結果として従来比40%のコスト削減が実現しました。さらに、AIによる業務の可視化と標準化により、事前の生産計画の作成や、繁閑期の調整が可能となり、業務の効率化が促進されました。
COMIXの事例を紹介
損害保険のBPO業務の事例紹介
損害保険会社の保険契約業務にCOMITXの保険BPOソリューションを導入した結果、業務効率が大幅に向上し、コスト削減にも成功しました。
課題
従来の保険契約業務は紙ベースで行われており、さまざまな課題を抱えていたため業務の見直しが急務でした。
課題には下記が挙げられます。
- 情報の散在
- 作業の属人化
- 管理の煩雑さ
- エラーの増加
- 顧客満足度の低下
- 情報の漏洩リスク
特に、紙業務による業務のブラックボックス化や配送コストの高騰、紙業務依存によるセキュリティリスクが大きな課題となっていました。
COMITXの解決策
課題解決のためにAIやクラウド技術を活用して業務をデジタル化しました。たとえば、従来の紙ベースの申請処理をデジタルデータに置き換え、AIによる自動分類とチェック機能を導入することで、作業のミスや遅延を大幅に削減しています。
また、業務の透明化を進め、どのプロセスがどの段階で完了しているかをリアルタイムで把握できる仕組みを構築しました。業務全体の効率向上と標準化に成功しています。
結果
保険BPOを導入しペーパーレス化を推進した結果、下記の実現に至っています。
- コスト削減
- 生産性向上
- BCP実現
- 作業自動化
オペレーション可視化による標準化は生産性向上につながり、従来比4割のコスト削減を達成しました。また、紛失や情報漏洩リスクを大幅に低減しています。
まとめ
本記事で解説したように、2025年現在の保険BPOは、単なる業務のアウトソーシングにとどまりません。データ入力から顧客サポート、保険金算定に至るまで、生成AIの本格活用によって、これまでにないレベルでの業務変革を実現する戦略的パートナーへと進化しています 。
AI-OCRによるデータ入力の自動化はもちろんのこと、高度なゼロトラスト・セキュリティによるリスク低減、そして倫理的なAI活用を担保するAIガバナンスなど、BPOパートナーに求められる役割はますます専門的かつ高度になっています。
COMITXでは、AI-OCRとBPOを組み合わせ、長年の業務ノウハウや効果的な管理手法とツールを活用し、業務効率化と品質向上を実現します。
AIデータ入力以外にも、AIによる火災保険金算定業務や24時間対応可能なAiCall、AIペット保険金算定業務など多様なサービスを提供し、企業の業務効率化やコスト削減、顧客満足度向上に大きく貢献します。
興味をお持ちの方は、ぜひCOMITXのサービスをご検討ください。

