【2025年最新】デジタルBPOとは?メリット・デメリット・事例を徹底解説!

 公開日:2025.06.30

デジタルBPO

デジタルBPOとは?

デジタルBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、最新のデジタル技術を駆使して業務プロセスを外部委託する経営戦略を指します。

従来、RPA(Robotic Process Automation)による定型業務の「自動化」が中心でしたが、2025年現在のデジタルBPOは、生成AI(Generative AI)やAIエージェントの活用を前提としています。これにより、単純作業の自動化に留まらず、過去のデータに基づいた判断や非定型のやり取りを含む、より高度な業務の「自律化」へと進化を遂げました。

単一の技術で業務を置き換えるのではなく、複数のAIやシステムが連携して業務全体を最適化する「ハイパーオートメーション」を実現し、企業の変革を根本から支えるパートナーへとその役割を変えつつあります。

デジタルBPOによる代表的な業務には以下があります。

AIによる自動化 データ入力、顧客対応、分析業務などをAIが自動化することで、人件費の大幅削減と作業精度向上を実現します。
RPAによる定型業務の効率化 RPAロボットがルーティンワークを自動化し、社員はより付加価値の高い創造的な仕事に専念できます。
データ分析による意思決定の迅速化 蓄積されたデータを分析し、顧客ニーズや市場動向を的確に把握することで、迅速かつ効果的な意思決定を可能にします。

たとえば、企業はコア業務に集中でき、運用コストの削減や業務スピードの向上が実現可能です。

従来のBPOは、企業の総務、人事、経理などの業務を外部委託する概念です。デジタルBPOは、ITアウトソーシングと呼ばれ、新たな事業分野として確立されつつあります。

注目される理由は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、デジタル化が企業経営の中心に据えられる中で、効率性と競争力の向上が求められるからです。

デジタルBPOと従来BPOの違いは?

デジタルBPOは、従来のBPOと比べて、以下の4つの点で大きく進化しています。

従来のBPO デジタルBPO
対象業務の幅広さ  人手による単純作業が中心。データ入力、電話対応、事務処理など、定型的な業務を担う。 AIやRPAなどの先端技術を活用することで、データ分析、意思決定支援など、より高度な業務も支援可能。
自動化による効率化 人手による作業が主体のため、自動化による効率化は限定的。 AIやRPAによる自動化により、従来のBPOでは実現できなかったレベルの業務効率化とコスト削減を実現。
データ分析  データ分析機能は限定的。 蓄積されたデータを分析し、顧客ニーズや市場動向を的確に把握することで、迅速かつ効果的な意思決定が可能。
 競争力強化 業務効率化やコスト削減に貢献するが、付加価値の高いサービス提供は限定的。 データ分析に基づいた新たなビジネスチャンスの創出や、顧客満足度向上など、競争力強化に貢献する付加価値の高いサービスを提供。

デジタルBPOで何かできるの?

デジタルBPOは、AIやRPA、データ分析などの先端技術を活用することで、従来のBPOでは実現できなかった幅広い業務を支援できます。

デジタルBPOでは、以下が可能です。

概要 業務例
データ処理・分析 ・顧客情報や請求書、領収書などのデータを、AIやRPAを用いて入力・処理・分析処理を行う。

・人件費削減や業務効率化、意思決定の迅速化ができる。

・顧客情報の入力・分析

・商品在庫の管理・分析

・施策の効果測定

顧客対応 ・AIによる自動応答やチャットボットの活用により、24時間365日の顧客対応が可能。

・顧客満足度向上に貢献する。

・問い合わせ対応

・クレームに対応。

・商品、サービス案内

意思決定支援 ・蓄積されたデータを分析し、顧客ニーズや市場動向を的確に把握する。

・経営戦略やマーケティング戦略などの意思決定を支援する。

・効果的な意思決定が可能になり、企業の競争力強化に貢献する。

・新規事業の立ち上げ

・既存事業の改善

・顧客ターゲティング

業務自動化 ・RPAやAIを活用して、ルーティンワークを自動化。

・社員はコア業務にに専念できる。

・業務効率化と生産性向上を実現。

・データ入力

・照会、突合

・文書作成

・メール処理

デジタルBPOのメリット

デジタルBPOの導入は、コスト削減や生産性向上といった従来のメリットに加え、企業の競争力を直接的に高める「攻めのメリット」をもたらします。

1. 業務の自動化と効率化

AIやRPA技術を活用することで、人的ミスが大幅に減少し、データの精度が向上します。作業速度の向上や顧客対応の迅速化、業務全体の効率化が実現されます。

たとえば、顧客情報の入力作業をAIで自動化することで、コールセンターの担当者は顧客対応に集中できるようになるでしょう。

2.顧客体験(CX)の飛躍的向上

生成AIを活用したチャットボットやボイスボットは、24時間365日、顧客一人ひとりに合わせた質の高い対応を可能にします。これにより、顧客満足度の向上はもちろん、企業のブランドイメージ向上にも貢献します。

3.新たなビジネス価値の創出

BPOを通じて蓄積された膨大な業務データをAIが分析し、これまで見過ごされてきたビジネスチャンスや業務改善のヒントを抽出します。データに基づいた精度の高い意思決定は、新サービスの開発や経営戦略の策定を力強く後押しします。

データ分析から得られた洞察を活用することで、新たなビジネスチャンスの創出や既存事業の改善が期待できるでしょう。

4.従業員体験(EX)の向上

従業員を単純作業や反復業務から解放し、より創造的で付加価値の高いコア業務に集中できる環境を構築します。これにより、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まり、組織全体の活性化と人材定着につながります。

デジタルBPOのデメリット

デジタルBPOは強力な武器となる一方、その高度化に伴う新たなリスクも存在します。導入を成功させるためには、これらのリスクを理解し、事前に対策を講じることが重要です。

1.AIの判断プロセスの不透明化(ブラックボックス問題)

高度なAIの判断根拠が人間には理解しにくくなることがあります。予期せぬトラブルを防ぐため、AIの意思決定プロセスを監視し、説明可能性(XAI)を確保する仕組みが求められます。

2.高度なデータガバナンスの必要性

機密情報や個人情報を外部のAIに処理させる場合、これまで以上に厳格なセキュリティとデータ管理体制(データガバナンス)が必須です。委託先の選定時には、情報セキュリティに関する認証の有無や管理体制を厳しく評価する必要があります。

3.生成AI特有の課題への対応

生成AIには、事実に基づかない情報を生成する「ハルシネーション」や、著作権、倫理的な問題が伴います。最終的なアウトプットは人間がチェックする体制を構築するなど、生成AIの特性を理解した上での運用ルール作りが重要です。

生成AI・AIエージェントがもたらす効果

2025年のデジタルBPOを語る上で欠かせないのが、「生成AI」と「AIエージェント」の存在です。これらはBPOの常識を根本から変えつつあります。

AIエージェントとは、単に指示された作業をこなすプログラムではありません。「〜に関する問い合わせに対応せよ」といった曖昧な指示に対し、自ら最適なプロセスを考え、複数のAIや社内システムと連携しながら、タスクを自律的に遂行する能力を持ちます。

例えば、顧客からのメール問い合わせに対し、AIエージェントが内容を理解・分析する事が可能です。社内の製品データベースや過去の対応履歴を検索し、最適な回答案を自動で作成します。

作成された回答案を担当者が承認するだけで、返信が完了する、といった一連のプロセスをほぼ自動で実行できるのです。

これにより、人間は個別の作業ではなく「プロセスの管理者・承認者」という、より付加価値の高い役割を担うことになります。

デジタルBPOのソリューション

デジタルBPOには、下記7つのソリューションが挙げられます。

AIデータエントリー

AIデータエントリーとは、AI-OCR(Optical Character Recognition)やビッグデータ活用などのデジタル技術と、人によるチェックや修正を組み合わせたデジタルBPOサービスです。

紙の書類や画像データから、必要な情報を自動で抽出・入力するため、従来の人手によるデータ入力と比べて、処理速度を大幅に向上できます。

AIデータエントリーの対象は多岐に渡り、以下の書類や作業を自動化します。

  • 顧客情報(住所、氏名、電話番号、メールアドレスなど)
  • 契約書(契約内容、金額、支払い期限など)
  • アンケート結果(回答内容、統計情報など)
  • PDF/画像データ内の文字情報
  • 音声データの書き起こし

AIデータエントリーの活用事例は以下のとおりです。

顧客情報の入力 顧客情報が記載された紙の書類や画像データをスキャンし、AIが自動的に顧客情報を読み取り、顧客データベースに登録します。
契約書のデータ化 契約書の内容をAIが自動的に読み取り、契約内容、金額、支払い期限などの情報をデータベースに登録します。
アンケート結果の分析 アンケートの回答内容をAIが自動的に読み取り、回答結果を分析・集計します。
音声データの文字起こし 会議やインタビューなどの音声データをAIが自動的に文字起こし、テキストデータを作成します。

人事DX

人事DXは、従来の人事業務をデジタル技術を活用して進化させる概念です。人事部門における以下を促進します。

  1. 業務効率化
  2. 人材開発
  3. 従業員体験(EX)向上

1. 業務効率化

人事DXは下記の業務をAIで自動化し、業務効率化を促進します。

  • 採用
  • 入社
  • 退職
  • 給与計算
  • 勤怠管理

また、人事システムをクラウド型にすることで、場所や時間に縛られず、いつでもどこでも人事情報にアクセスできます。

2. 人材開発

従業員のスキルやパフォーマンスデータを分析し、個々のニーズに合わせた人材育成プログラムを提供することが可能です。

3. 従業員体験(EX)向上

従業員満足度やエンゲージメント度を調査し、課題を特定することで、より働きやすい職場環境づくりが実現可能です。

また、チャットツールやSNSなどのコミュニケーションツールを導入することで、従業員同士のコミュニケーション活性化を促進します。

人事DXのメリットには下記が挙げられます。

  • 人件費削減
  • 生産性向上
  • 組織力の強化
  • 従業員満足度向上
  • 競争力強化

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)

ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)とは、人間のみが対応可能と想定されていた作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習などを活用して代行・代替する取り組みです。

定型的な事務作業の自動化が可能で、データ入力や帳票処理、顧客対応など、幅広い業務に適用可能です。

RPAのメリットには、下記が挙げられます。

  • 人件費削減
  • 作業効率化
  • ミスの削減

インテリジェントオートメーション(IA)

インテリジェントオートメーション(IA:Intelligent Automation)とは、AIやRPAなどの技術を組み合わせ、人間の判断や作業を含む一連の業務プロセスを自動化する仕組みです。

RPAの進化版であり、より高度な自動化ソリューションで、データ分析や判断の自動化が可能です。

IAのメリットには、下記が挙げられます。

  • より高度な自動化
  • データ分析に基づいた意思決定
  • 業務の自動化範囲の拡大

クラウドベースのサービス

クラウドベースのサービスは、インターネットを通じて必要なサービスを利用できるサービスです。場所や時間に縛られずに、いつでもどこでも仕事をすることができるため、働き方の自由度が大幅に向上します。

クラウドベースのサービスのメリットには、下記が挙げられます。

  • 場所や時間に縛られない働き方ができる
  • 初期費用を抑えられる
  • スモールスタートに適している
  • 常に最新バージョンを利用できる
  • データの共有とコラボレーション

代表的なクラウドベースサービスには下記の3つがあります。

SaaS(Software as a Service) CRM、ERP、会計ソフトなどの業務アプリケーションをインターネット上で利用するサービス
PaaS(Platform as a Service) アプリケーション開発に必要なプラットフォームをインターネット上で利用するサービス
IaaS(Infrastructure as a Service) サーバー、ストレージ、ネットワークなどのITインフラをインターネット上で利用するサービス

データアナリティクスとビッグデータ

蓄積されたデータを分析することで、顧客ニーズや市場動向を把握することができます。より効果的な経営戦略やマーケティング戦略を策定することができます。

データアナリティクスとビッグデータのメリットには、下記が挙げられます。

  • 顧客ニーズや市場動向の把握
  • 効果的な経営戦略・マーケティング戦略の策定
  • 新規事業の創出

マルチチャネル顧客対応

マルチチャネル顧客対応は、顧客が電話やメール、チャットなど、さまざまなチャネルを通じて顧客対応を行います。各チャネルに最適な方法で対応することで、顧客満足度向上と売上拡大を実現する顧客対応戦略です。

マルチチャネル顧客対応のメリットには、下記が挙げられます。

  • 顧客満足度向上
  • 顧客ロイヤルティ向上
  • 売上拡大
  • 顧客離脱率の減少
  • 顧客対応コストの削減
  • 顧客情報の共有

デジタルBPOの導入事例

COMIT XとCOMIT HRにおけるデジタルBPOの導入事例を紹介します。

COMIT XのAIデータエントリー事例

COMIT XのAIデータエントリーソリューションは、商社・食品卸売会社の仕入・売上計上業務の効率化とコスト削減を実現しています。AI-OCRによる自動化で、業務のブラックボックス化を解消し、透明性と生産性を向上させました。

企業 商社・食品卸売会社
課題 ・業務のブラックボックス化、非効率化

・紙業務依存によるセキュリティリスク

・業務環境の限定化

解決策 AI-OCRによる仕入・売上計上業務の自動化
導入効果 オペレーション

可視化による標準化

AI-OCRでデータ化することで、業務内容を可視化し、標準化を実現
生産性向上

・コスト削減

手入力作業の自動化により、処理時間を大幅に短縮し、従来比3割のコスト削減を達成

紛失リスクの排除 紙媒体を廃止し、OCRでデータ化することで、書類の紛失リスクを排除
ロケーションフリーな業務環境の実現 クラウドベースのシステムにより、主拠点外やテレワークでの業務が可能
導入内容 システム規模 クラウド型 (AWS)
利用ユーザー数 200名以上
処理対象業務 仕入・売上計上業務
処理対象書類 納品書、請求書、クレジットメモなど
処理対象データ 取引先情報、商品情報、価格情報など
処理ルール 100,000個以上
開発期間 要件定義 2ヶ月間
システムインテグレーション 2ヶ月間
検証 2ヶ月間 (1ヶ月間/回 x 2回)

導入のポイントには以下が挙げられます。

  • AI-OCRの高度な認識精度により、高い自動化率を実現
  • 柔軟なカスタマイズ機能により、複雑な帳票にも対応
  • クラウドベースのシステムにより、導入・運用が容易
  • 豊富な導入実績により、安心・安全に導入可能

COMIT HRの人事DX事例

COMIT HRではジョブカンの導入により、短納期でのシステム移行とペーパーレス化を実現し、人事DXに成功しています。

業種

外資系医療機器製造・ヘルスケアサービス

課題

・委託先変更に伴い、人事システムの変更が急務

・紙ベースでの申請・承認業務や年末調整の非効率化が課題

解決策

・COMIT HRは、ジョブカンへの移行とフルアウトソーシングを提案
導入内容 要件定義 現行システムの設定書と給与計算データを分析し、ジョブカンへの適合性を評価
基本設定  ジョブカンへのデータ移行や設定を行い、基本的な運用環境を構築
テスト 移行後のシステム動作を検証し、問題点を修正
運用構築 ジョブカンでの運用方法を定め、マニュアルを作成
並行稼働 現行システムとジョブカンを並行稼働し、問題点を洗い出す
本番稼働 ジョブカンを本番環境に移行し、運用を開始
導入成果 短納期でのシステム移行 4ヶ月でシステム移行を完了
ペーパーレス化 申請・承認業務や年末調整をペーパーレス化し、業務効率を大幅に向上
人事・労務のDX化 ジョブカンによるオンライン化により、人事・労務業務のDX化を実現
設定スキルの習得 ジョブカンのワークフロー機能により、設定スキルを自社で習得

デジタルBPOの選び方

デジタルBPOは、従来のBPOだけではなく業務の自動化やデータ分析など、より高度なソリューションを提供します。

自社の課題やニーズに合致しないBPO事業者を選んだ場合、期待通りの成果を得られない可能性があります。デジタルBPOを成功させるためには、適切なBPO事業者を選ぶことが重要です。

デジタルBPOを選ぶ際の5つのポイントは下記のとおりです。

1. 課題・ニーズを明確にする

自社の課題やニーズを明確にすることが重要です。どのような業務をBPO化したいのか、どのような成果を期待しているのかなどを明確にします。

2. 複数のBPO事業者を比較検討する

複数のBPO事業者を比較検討し、自社の課題やニーズに合致するBPO事業者を選びます。

比較検討する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 提供している機能やサービス
  • 費用や納期
  • 実績
  • セキュリティ対策
  • 顧客対応

3. 無料トライアルやPoCを活用する

多くのBPO事業者は、無料トライアルやPoC(Proof of Concept:概念実証)を提供しているため、実際にBPOサービスを試して契約することができます。

4. 導入後のサポート体制を確認する

デジタルBPOを導入した後も、BPO事業者によるサポートが必要です。導入後のサポート体制が充実しているかどうかも確認する必要があります。

5. 導入事例を参考に

自社と似たような業種・規模の企業がデジタルBPOを導入した事例を参考にすることで、BPO事業者を選ぶ際の参考になるでしょう。

データで見るデジタルBPOの今後と市場の動向

デジタルBPO市場は、今まさに大きな成長期を迎えています。IDC Japanによると、国内BPOサービス市場は2029年には1兆2,000億円を超える規模※に達すると予測されており、その成長を牽引するのがAIを活用したデジタルBPOです。

背景には、深刻化する人手不足と、レガシーシステムの刷新が急務とされる「2025年の崖」問題があります。

多くの企業にとって、BPOはもはや単なるコスト削減策ではありません。事業を継続し、変化の激しい時代を勝ち抜くための「戦略的投資」として、その重要性はますます高まっています。

参照元:IDC「国内ビジネスプロセスアウトソーシングサービス市場予測を発表 ~AIが促すサービス提供モデルの変化~」

まとめ

COMIT XではAI-OCRとBPOを組み合わせたデジタルBPOと、長年の業務ノウハウや効果的な管理手法とツールを活用することで、業務効率化と品質向上を実現します。

AIによる火災保険金算定業務や24時間対応可能なAiCall、AIペッ卜保険金算定業務など様々なサービスを提供しています。

企業の業務効率化やコスト削減、顧客満足度向上などに貢献しますので、興味をお持ちになられた方はぜひ、COMIT Xのサービスをご検討ください。