【2024年】AI(人工知能)導入でコールセンター業務を革命!事例とメリットを解説
公開日:2024.07.09
現在、従来のコールセンターは、人手不足や顧客対応の質のばらつき、顧客満足度の低下などの課題を抱えています。近年、AI技術は目覚ましい進歩を遂げており、コールセンター業務におけるAI導入事例も増えています。
この記事では、コールセンターの顧客満足度や業務効率の向上に悩む方に向けて、AI導入のメリットや注意点を解説します。
是非参考にしてください。
目次
コールセンターが直面する課題とは?
従来のコールセンターでは以下の課題に直面しています。
コールセンターにおける人手不足の問題
コールセンターでは深刻な人手不足が問題となっています。人手不足は、離職率の高さと新しいオペレーターの育成に時間とコストがかかることが原因です。
コールセンター業務における離職率の原因には下記が挙げられます。
- ストレスの多い職場環境
- 不規則なシフト
- クレーム対応
オペレーターに負担が大きいことが、離職率を高める要因です。
たとえば、新規オペレーターを採用しても、多くが短期間で退職してしまうため、安定した人材の確保が困難です。コールセンターでは、安定した人材の確保と効果的なトレーニング体制の整備が求められます。
ワークロードの軽減
コールセンターではオペレーターのワークロードの軽減が必要です。ワークロード(workload)とは、人や機械が一定期間中に行う仕事量や作業負荷を意味します。
コールセンターのオペレーターは、電話対応だけではなく、顧客情報の入力やデータ管理、問題解決のための調査など、多くの業務を同時にこなさなければなりません。
過剰なワークロードはオペレーターの健康にも悪影響を及ぼします。長時間の集中作業やストレスの多い業務環境は、精神的・身体的な疲労を蓄積させ離職率の増加を招きます。
データ分析
コールセンターにおいてデータ分析の重要性が高まっています。コールセンターでは、膨大なコールデータが日々生成されています。データを活用することで、顧客のニーズやトレンドの把握が可能です。
データ分析には高度な専門知識と時間が必要なため、人手不足により十分な分析が行われていないケースが多くあります。
データ分析の欠如は、顧客対応の質の低下や問題の早期発見・解決の遅れを招き、顧客満足度の低下につながります。業務の非効率性が改善されないため、コストの増加や経営に悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
個々の顧客ニーズへの対応
コールセンターでは、個々の顧客ニーズへの対応が求められます。顧客満足度を向上させるためには、一人ひとりの顧客のニーズに応じた対応が不可欠です。
しかし、オペレーターのスキルや経験にはばらつきがある場合、すべての顧客に均一な高品質の対応を提供するのは困難です。個々の顧客ニーズに対応するためには、高度なスキルと知識が求められ、対応人材の育成には時間とコストがかかります。
コールハンドリングタイムの短縮
コールセンターではコールハンドリングタイムの短縮が課題です。
コールハンドリングタイムとは |
オペレーターが顧客とのやり取りにかかる平均処理時間を指す。後処理の時間も含まれる。 |
コールハンドリングタイムの短縮が実現されない場合、顧客待機時間が長くなり、結果として顧客満足度の低下やクレームの増加を招く可能性があります。オペレーターの疲労やストレスが増大し、離職率の上昇にもつながるでしょう。
トレーニングコストの削減
トレーニングコストの削減は、コールセンター運営の重要な課題です。新規オペレーターの育成には時間と費用がかかるため、コストの増加と業務効率の低下を招くことがあります。
新人オペレーターを教育するためには、経験豊富なオペレーターのサポートが必要です。さらに、新規採用者が定着する前に離職してしまう場合には、再び採用とトレーニングのコストが発生します。
新しいオペレーターの育成にかかるコストを削減することが、コールセンターでは急務となっています。
AIによるコールセンターの種類
AIによるコールセンター業務には下記の種類があります。
AIチャットボット
AIチャットボットは、顧客からのテキストメッセージやチャットによる問い合わせに自動で応答するシステムです。24時間365日対応が可能で、顧客満足度向上や人件費削減に効果があります。
AIチャットボットの主な機能やメリットは下記のとおりです。
機能 | 顧客からの質問に自動で回答
商品・サービスの案内 よくある質問への自動回答 顧客情報の収集 オペレーターへのエスカレーション |
導入事例 | ECサイト
銀行 など |
メリット | 顧客満足度向上
人件費削減 24時間365日対応 顧客情報の収集 業務効率化 |
商品に関する質問に自動で回答し、顧客満足度を向上させたり、口座開設や振込などの手続きをAIチャットボットで自動化することで、人件費の削減が可能です。
AI音声ボット
AI音声ボットは、顧客からの電話による問い合わせに自動で応答するシステムです。音声認識技術と自然言語処理技術を活用し、顧客の意図を正確に理解して適切な回答を提供します。
AI音声ボットの主な機能やメリットは下記のとおりです。
機能 | 顧客からの音声による質問に自動で回答
商品・サービスの案内 よくある質問への自動回答 顧客情報の収集 オペレーターへのエスカレーション |
導入事例 | 航空会社
通信会社 など |
メリット | 顧客満足度向上
人件費削減 24時間365日対応 顧客情報の収集 業務効率化 |
たとえば、航空会社ではフライトの予約や変更を音声ボットで自動化し、顧客満足度の向上を実現しています。通信会社では、料金プランの変更や解約を音声ボットで自動化し、人件費の削減に成功しました。
AI解析ツール
AI解析ツールは、コールセンターで収集された顧客データや通話内容を分析し、顧客満足度向上や業務効率化に役立つ情報を提供するシステムです。
AI解析ツールの主な機能やメリットは下記のとおりです。
機能 | 顧客満足度分析
顧客ニーズ分析 業務効率分析 問題点分析 改善提案 |
導入事例 | 小売業 など |
メリット | 顧客満足度向上
顧客ニーズの把握 業務効率化 問題点の早期発見 迅速な改善 |
たとえば、小売業では、顧客満足度調査の結果を分析することで、商品やサービスの改善に役立てています。また、通話内容を分析し、オペレーターの対応スキル向上にも役立てています。
AI予測ダイヤラー
AI予測ダイヤラーは、AI技術を活用し、顧客への電話をかけるタイミングや順番を最適化するシステムです。
顧客の属性や過去の購買履歴などを基に、電話が繋がる可能性が高い顧客から優先的に電話をかけます。成約率向上や顧客満足度向上に効果があります。
AI予測ダイヤラーの主な機能やメリットは下記のとおりです。
機能 | 顧客への電話をかけるタイミングを最適化
顧客への電話をかける順番を最適化 顧客属性や過去の購買履歴に基づいたアプローチ 自動音声メッセージによる案内 |
導入事例 | 保険会社
クレジットカード会社 など |
メリット | 成約率向上
顧客満足度向上 電話架電時間の削減 人件費削減 業務効率化 |
たとえば、保険会社では、契約更新時期を迎えた顧客に、AI予測ダイヤラーを活用して電話をかけ、契約更新率を向上させています。
FAQシステム
FAQシステムは、顧客が抱えやすいよくある質問とその回答をデータベース化し、顧客が自分で問題を解決できるようにするシステムです。
AIチャットボットの主な機能やメリットは下記のとおりです。
機能 | 顧客からの質問に対する自動回答
質問の追加・編集・削除 顧客満足度調査 検索機能 |
導入事例 | 家電量販店
ソフトウェア企業 など |
メリット | 顧客満足度向上
人件費削減 24時間365日対応 ナレッジの蓄積 業務効率化 |
たとえば、家電量販店では製品に関するよくある質問をFAQシステムに掲載し、顧客満足度を向上させています。ソフトウェアを販売している企業では、製品の使用方法に関するよくある質問をFAQシステムとして掲載し、顧客満足度向上やコールセンターの負荷軽減に役立てています。
AI導入によるコールセンターのメリット
AIをコールセンターに導入することで、以下のようなメリットを得ることができます。
24/7対応可能
24/7 (Twenty four seven)とは |
日本語で「年中無休営業」を指して使われます。 |
AIは人間と異なり、休憩や睡眠を必要としません。24時間365日いつでも対応が可能です。顧客はいつでも問い合わせが可能になり、利便性が大幅に向上するでしょう。
従来は人員不足で対応が難しい時間帯にも対応できるようになることは大きなメリットです。
特に、夜間や早朝、土日祝日など、AIチャットボットや音声ボットの導入により問い合わせ対応することで、顧客の離脱率減少や売上向上に貢献します。
コスト削減
AIツールの導入により削減できるコストには以下が挙げられます。
- 人件費削減
- 教育費削減
- 施設費削減
単純な問い合わせやFAQ対応をAIに任せることで、オペレーターの負担を軽減し、より複雑な問い合わせや顧客対応に集中することが可能です。
たとえば、コールセンターの運営会社ではAI音声ボットを導入し、顧客からの問い合わせのうち80%を自動化したことで人件費の削減に成功しています。
品質の均一化
AIツールは、常に一定の品質で顧客対応を行うことができます。オペレーターの経験やスキルに左右されることなく、すべてのお客様に公平で高品質なサービスを提供することができます。
たとえば、金融機関ではAIチャットボットとFAQシステムを導入したことで、顧客対応の品質を均一化し、顧客満足度を向上させた事例があります。
品質の均一化による効果には下記が挙げられます。
- 顧客満足度向上
- クレーム件数減少
- 顧客離脱率減少
- ブランドイメージ向上
高速な対応
AIは、膨大な量の情報を瞬時に処理できます。顧客からの問い合わせ内容を分析し、適切な回答を導き出すまでの時間は、従来のコールセンターと比べて短縮されるでしょう。
過去の問い合わせ履歴や顧客情報などを参照することで、より個別化された対応が可能です。
AIによる高速な対応は、顧客の待ち時間を短縮し、ストレスの軽減につながるでしょう。
たとえば、通信会社の事例ではAI予測ダイヤラーを導入し、顧客への電話をかけるタイミングを最適化したことで顧客満足度を向上させています。
繰り返しのタスクを自動化
AIは、データ入力や顧客情報の検索、FAQ回答など、繰り返しのタスクに適しています。定型タスクを自動化することで業務効率化や人的ミスの削減につながります。
オペレーターはより複雑な問い合わせや顧客対応に集中することができるようになり、顧客対応の質を向上させます。
たとえば、小売業ではAI音声認識システムを導入することで、顧客からの注文を自動で処理し、業務効率向上に成功しています。
マルチタスク処理
従来のコールセンターシステムでは、オペレーターは1つの問い合わせに集中し、対応を完了するまで他の作業を行うことができませんでした。
AIは、複数の問い合わせを同時に処理し、顧客への回答を迅速に行うことができます。従来のコールセンターシステムでは、オペレーターが対応できる顧客数が限られていましたが、AI導入により、顧客対応の待ち時間を大幅に短縮することが可能です。
多言語対応
AIは、複数の言語を同時に処理し、多言語対応を実現することができます。グローバル展開を目指す企業にとって、大きなメリットとなります。
AI導入により、世界中の顧客からの問い合わせに対応可能で、顧客基盤の拡大に貢献するでしょう。
たとえば、IT企業によるAIチャットボットの事例では、日本語や英語、中国語での顧客対応を実現したことで顧客満足度の向上と売上の向上を実現しています。
AIをコールセンターに導入するステップ
AIをコールセンターに導入し、業務を効率化・改善するには、以下の3つのステップが重要です。
ステップ1:現状の問題点の洗い出し
AI導入を成功させるためには、まず現状のコールセンター業務における課題を明確にすることが重要です。
課題を明確にするためには、以下の点を洗い出します。
顧客対応件数と内容の分析 | 1日あたりの顧客対応件数や問い合わせの内容、顧客満足度などを分析し、課題を特定する |
オペレーターの業務負荷分析 | オペレーターが1日に対応する件数や平均対応時間、休憩時間などを分析し、業務負荷の高い部分を特定する |
顧客満足度調査 | 顧客満足度調査を行い、顧客がどのような点に不満を感じているのかを把握する |
業務フローの分析 | 現在の業務フローを分析し、非効率な部分や改善点がないかを特定する |
課題を洗い出すことで、AIの導入によりどのような効果が得られるのかを明確にします。
ステップ2:導入製品の選択
現状の課題を明確にした後は、導入するAI製品を選択します。AI製品にはさまざまな種類があり、異なる機能や性能を持ちます。
自社の課題解決ができる機能を備えた製品を選ぶことが重要です。
導入を検討する際に意識するポイントは下記のとおりです。
対応可能な業務内容 | 問い合わせ対応やFAQ検索、チャットボットなど、どのような業務をAIに任せるのかを明確にする |
導入コスト | AI製品の導入には、初期費用とランニングコストがかるため、自社の予算におさまる製品を選ぶ |
拡張性 | 将来的に業務量が増加した場合にも対応できる、拡張性の高い製品を選ぶ |
セキュリティ | 顧客情報を取り扱うため、セキュリティ対策が充実している製品を選ぶ |
AI製品を導入する際は、複数の製品を比較検討して自社に最適な製品を選びましょう。
ステップ3:試用期間の設定と検証
製品を選んだ後は、実際に試用期間を設けて検証を行います。試用期間中は、製品の機能や使いやすさを実際に試してみるだけではなく、導入によりどのような効果が得られるのかを検証しましょう。
検証するポイントは以下のとおりです。
顧客対応の質 | AIによる顧客対応と従来のオペレーターによる顧客対応の質を比較する |
業務効率 | AI導入により業務効率がどの程度向上したのかを検証する |
顧客満足度 | AI導入により顧客満足度がどの程度向上したのかを検証します。 |
試用期間中に問題点が発覚した場合は、製品を再検討する必要があります。検証した後はAI製品を導入し、実際に運用体制を構築していきます。
AI導入に当たっての注意点
AI製品をコールセンターに導入する際には、以下の点に注意する必要があります。
製品選択の際の注意事項
適切なAI製品を選択することは、導入後の成否を左右する重要なポイントです。
製品を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
課題解決能力 | 対応可能な業務内容 | 問い合わせ対応
FAQ検索 チャットボット 音声認識 など |
顧客属性: | 顧客の年齢層
性別 言語 国籍 など |
|
業界 | 業界特有の専門知識や規制などを考慮する | |
機能性 | 基本機能 | 問い合わせ対応
FAQ検索 チャットボット 音声認識 など |
高度機能 | 顧客分析
感情分析 音声分析 など |
|
拡張性 | 将来的に機能を追加したり、他のシステムと連携したりできるかを確認する | |
導入・運用コスト | 初期費用 | ソフトウェアライセンス料
ハードウェア導入費用 コンサルティング費用 など |
ランニングコスト | システム保守費用
運用費用 データ通信費用 など |
|
費用対効果 | 導入コストと期待される効果を比較検討し、費用対効果の高い製品を選ぶ |
上記のポイントを踏まえて、具体的なAI製品を比較検討することが重要です。
AIによる変化への対応策
AI製品の導入によりコールセンターの業務内容が変化するため、対応への準備が必要です。
AIによる変化への対応策には下記が挙げられます。
オペレーターの教育・研修 | オペレーターに対して、AI製品の使い方や運用方法に関する教育・研修を行う |
業務フローの見直し | 業務フローの見直しや効率化を図る |
顧客対応マニュアルの改訂 | 顧客対応に関するマニュアルを作成・改訂する |
コミュニケーション体制の構築 | AI製品とオペレーターが連携して業務を行うためのコミュニケーション体制を構築する |
技術的知識
AI製品を導入・運用するためには、一定程度の技術的知識が必要です。社内には、AIに関する知識を持つ人材を育成する必要があるでしょう。
AI製品の導入・運用を、外部業者に委託する場合は、基本的な知識を身につけておくことで、業者との意思疎通を円滑化できます。
AI製品の導入における代表的な技術には下記があります。
機械学習 | 顧客データから学習し、自動的に判断や予測を行う技術 |
自然言語処理: | 人間と自然な会話ができるようにする技術 |
音声認識 | 音声をテキストに変換する技術 |
音声合成 | テキストを音声に変換する技術 |
AI製品の技術を理解し、自社のニーズに合った技術を選択することが重要です。
持続可能性
AI製品は、導入後も継続的に学習・改善していく必要があるため、導入・運用するための費用を継続的に確保することが重要です。AI製品の進化に合わせて、定期的にシステムを更新する必要もあります。
AI導入における持続可能性を実現するためには、以下の4つが重要です。
長期的な視点 | AI製品は導入後も継続的に学習・改善していく必要があり、そのための費用を継続的に確保する必要がある。 |
予算の確保 | AI導入には、初期費用やランニングコスト、システム更新費用などの費用がかかります。費用を継続的に確保するためには、AI導入のメリットを明確にし、経営層の理解を得ることが重要 |
パートナーとの連携 | AI製品の導入・運用には、専門的な知識や技術が必要なため、AIベンダーやコンサルタントなどのパートナーと連携することが重要 |
人材育成 | AI製品を導入・運用するには、AIに関する知識やスキルを持つ人材の育成や採用が必要 |
法律や規制
AI製品は、顧客情報や音声データなど、個人情報を取り扱う可能性があるため、個人情報保護法に基づき、適切な個人情報保護対策を講じる必要があります。
具体的には、以下の対策が必要です。
- 利用目的の特定
- 利用範囲の限定
- 安全管理措置
- 第三者提供の制限
また、AI製品の導入にあたって、法律・規制に関する疑問や不安がある場合は、弁護士やコンサルタントに相談することをおすすめします。
専門家が、個々の状況に合わせた適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。
まとめ:AIでコールセンターを革新する
AIは、コールセンター業務を進化させる可能性を秘めたテクノロジーです。顧客対応の迅速化や業務効率の向上、顧客満足度の向上などのさまざまなメリットをもたらします。
導入には、製品選定や運用体制構築、技術的知識の習得などの注意点もありますが、課題を克服することで、顧客満足度を高める強力なツールとなるでしょう。
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