企業におけるBCPの必要性

2021.07.26

著者プロフィール

范 蘭芳(はん らんほう)

株式会社InfoDeliver 取締役
COMITX事業ユニット CEO

常に「最⼩コスト」の精神と「Day1(初⼼)」の⼼構えで、将来を⾒据えたお客様のための価値創造と⾃らの進化に挑んでいきます。


 

 

さまざまな緊急事態に速やかに対応するため、各企業に求められているのがBCP対策です。

具体的な対策を着実に進める企業がある一方で、普通の防災対策との違いがわからない方もいるのではないでしょうか?

BCPと防災対策の違いや、BCP策定のメリット・デメリットについてわかりやすくまとめます。

 

目 次

  • 防災対策との違い
  • メリットとデメリットについて解説
  • 諸外国からも要求されているBCPの重要性
  • まとめ

 

防災対策との違い

 

防災対策は、いつやってくるかわからない災害への対策のことを言います。

災害時に人命を守るための具体的な計画を立てたり、いざという場面で必要となる物資を備蓄しておくなど、自主的に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。

 

BCP対策についても、「うちは防災対策をしっかりと行っているから大丈夫」と捉えている方も少なくありません。

 

しかしBCPには、防災対策とは決定的に異なる視点が存在しています。

それは「緊急時における事業の継続や早期復旧」です。

BCPは、ただ単純に人命を救い、災害による被害を最小限にするための対策ではありません。

もちろんこれらの項目を踏まえつつ、「緊急事態下においても、どうすれば事業を継続していけるのか?」にまで踏み込み、具体的な計画を策定するものです。

 

防災対策は万全でも、BCPは不十分というケースも少なくありません。

緊急事態下において、業務を継続、もしくは早期復旧できなければ、企業全体が傾いてしまう可能性もあるでしょう。

事業を継続していくために、何に注力し、どう行動していくのか。

BCPを策定し、企業としての方針を決定しておきましょう。

 

 

メリットとデメリットについて解説

 

 

BCP対策には、メリットもあればデメリットもあります。

 

★BCP対策のメリット

BCP対策をきちんと行っておけば、緊急時でもスムーズに業務復旧できる可能性が高くなります。

また緊急事態にこそ、求められる業務は多くなります。

 

ただし、動かせる人や物は限られているでしょう。

その中でも、やるべき業務に的を絞って動くことができれば、企業としての評価は高まります。

 

BCP対策をしっかりと行っている企業は、「緊急時にも信頼できる会社」として注目度が高まっています。

ステークホルダーからの信頼度が向上し、通常の業務にも良い影響を与えてくれるでしょう。

 

またBCP対策を行う上で必要となるのが、自社業務の洗い出しやプロセスの見直しです。

これらの過程を通じて、業務効率改善につながるケースも少なくありません。

 

★BCP対策のデメリット

BCP対策のデメリットは、コストです。

計画を立て、緊急時のその計画を実行できる環境を整備しようと思えば、コストがかかるケースも少なくありません。

BCP対策は、すぐに売り上げにつながる業務ではありません。

このため、コストをかけるのをためらう企業も多いのが現状です。

 

またBCPを策定しても、以下のような場面で正しく機能しないケースも目立ちます。

 

・BCPで想定していた以上の緊急事態が発生した

・全く想外の問題が起きた

・BCPの内容が、実践不可能なものであった

・BCPに沿って実際に行動してみたら、内容が不十分でうまく行動が出来なかった

 

BCP策定の難易度が高い点も、デメリットであり注意点の一つだと言えるでしょう。

 

 

諸外国からも要求されているBCPの重要性

 

メリット・デメリットはあるものの、災害大国である日本において、BCPの重要度は増しています。

事業のグローバル化が進む今、海外企業にとって「安心して取引できる相手かどうか?」は、非常に重要なポイントになります。

 

実際に過去の自然災害発生時には、現地の工場から部品の供給が途絶え、商品流通に深刻な影響を及ぼしたケースもありました。

しっかりとBCPが策定されていれば、災害そのものは防げなくても、その後の復旧までの流れは素早くなります。

「BCPで緊急時にも強い企業体制を内外にアピールする」ことは、競争力強化につながるでしょう。

 

緊急時にも事業を継続できるかどうかは、自社だけの問題ではありません。

より広範囲への影響を考え、BCPを策定し、その事実を広くアピールしていきましょう。

企業としての強みにつながっていくはずです。

 

 

まとめ

 

「緊急事態が発生したその後の業務」にまで目を向けたBCP対策は、防災対策とは異なるものです。

グローバル社会の中、競争力・信頼力を磨くためにも、前向きに取り組んでいきましょう。

 

とはいえ、最初から完璧なBCP策定を目指すのは難しいものです。

まずは今できる部分から、少しずつ対策を進めていくのがおすすめです。

たとえばサーバーを社内に置かないクラウド化を実現できれば、オフィスが被災した場合でも、以前と同じ業務環境を取り戻しやすくなります。

ペーパーレス化が完了していれば、重要書類の紛失・破損リスクを低減できるでしょう。

デジタル技術を活用したBCP対策は、株式会社InfoDeliverの「COMITX」がお手伝いいたします。